無角和牛

無角和種のおいしさ
噛むほどに旨味と肉汁が溢れる赤身ならではの味わい。そこには100年の飼育と改良のなかで無角和種が守り続けてきた、和牛品種のなかでも際立つ個性があります。
赤身のおいしさが強みの品種

脂肪交雑が多く、いわゆるとろけるような霜降りが特徴の黒毛和種に対して、サシが入りにくく水分の多い赤身が主体の無角和種。その味わいは、肉本来の魅力を存分に楽しめるものと言えます。噛み心地が良く、旨味の成分であるアミノ酸が豊富で、噛むたびにジューシーな肉汁と豊かなコクが口の中に広がる。これらは、噛む喜びを再認識できる無角和種ならではの特徴です。ダイレクトにその肉汁を感じるステーキやしっとりとしたローストビーフなど、赤身ならではの楽しみとともに、高タンパク低カロリーであることから健康や美容の面でも好ましく、胃もたれせずに食べることができます。

日本における牛肉格付の現在

現在、格付評価は「歩留まり」と「肉質」によって決められています。歩留まりの等級は、どれだけ肉が取れるかを審査し、3段階に分けられるもの。肉質の等級は「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉の締まりおよびきめ」「脂肪の色沢と質」の項目からなり、それぞれ5段階で審査されるなか、最も低く記された等級が評価となります。
この格付システムの評価基準は黒毛和種が持つ特徴に沿っているため、歩留まりが良い霜降り肉として「A5」「A4」の評価を得た黒毛和種は高い価格で流通する一方、霜降り傾向が弱い赤身品種は「A3」「A2」の評価が中心となり、赤身肉としてのおいしさの評価や生産者の収入となる枝肉価格の間に乖離が生まれています。つまり、赤身を主体とする和牛のおいしさを図る仕組みとしては成立していないといえるのです。

「A」は部分肉歩留まりが標準より良いことを意味し、「1」から「5」までの数字は肉質を表します。これらの組み合わせにより、「A5」から「C1」までの15のランクがあり、最高ランクの「A5」に格付されるのは、年間で格付される約90万頭牛のうちの20%弱。
変わりゆく世界の意識

近年では、持続可能な開発目標とした「SDGs」が世界的に掲げられ、ライフスタイルの見直しや、良質な選択を日常化したいという意識が世界中で高まっています。それは、食分野にも深く関係し、食を選択する際に資源や環境へ配慮した食糧の生産、加工、流通、調理までのすべてが持続可能であるかがひとつの判断基準とされ始めています。
広がっているのは、自然に必要以上の負荷をかけずに、動植物本来の生態に沿って生産し、その特性を生かすように加工・調理されたものを選択するという価値観。SDGsの観点でもある、持続可能な生産と消費やアニマルウェルフェアの視点は、これからの畜産においての重要事項と言えます。さらに、土地ごとの食の価値にも再注目が集まることから、種の価値、風土や気候や地域文化によるテロワールの価値が再認識されています。

食の選択も紐づくSDGs
2015年に開催された「国連持続可能な開発サミット」において定められた、持続可能な開発のための目標。17の目標で構成され、国連に加盟するすべての国は2030年までに貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、諸目標を達成すべく努力することが求められている。
土地らしさを表すテロワール
主にワイン生産においてブドウ畑の土壌やその地域の地形、気候、風土などの生育環境を総称する概念として用いられる言葉。自然的な側面とそこで暮らす地域の人間の文化や伝統が総合された概念である。もともとは「土地」を意味するフランス語「terre」から派生した言葉。
赤身肉への関心が高まる国内の意識

現在の国内食肉格付の仕組みでは、高い等級を得ることが難しい無角和種。しかし近年、長らく続いた霜降り一辺倒の評価や関心に変化が訪れています。そのきっかけとなったのが、フランスやイタリアで修行を積んで日本に戻って来た料理人たちの意識。修行先の欧州で、健康的に育てられた赤身肉のおいしさと価値を知った彼らが、良質な国産赤身肉を探し、その価値観の普及を牽引したのです。
消費者意識においても、日常食としてシンプルな肉の味わいを楽しむ嗜好やヘルシー志向が高まり、赤身肉や牧草飼育で育った肉への関心が増しています。さらに、世界的な価値観の変化を追いかけるようにして、国産であること、地産地消の食材であること、ルーツが明確な種であること、環境に配慮した持続可能な生産がされていることが意識され、新たなブランド選択の価値基準となっています。

地元産の食材利用や赤身肉に関心の高いシェフを招き、産地を案内。生産者を訪ね、牛舎や放牧地での取り組み、さらに土地の特性を伝える。
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