無角和牛

安堂畜産株式会社
無角和種を買い付けて加工と流通を行うのが、山口県岩国市の安堂畜産株式会社。無角和種の歩みを支えてきた企業です。
伝統和牛への思い
阿武町の無角和種繁殖センターから山口中央家畜市場に出荷された無角和種を買い付けるのが、安堂畜産株式会社。岩国市周東町で伝統和牛に特別な思いを注ぎ、牛の血統から飼育、加工、流通のすべての過程にこだわりを持ち、山口県随一の牛肉生産を誇る企業です。
食肉卸業にて創業したのは昭和22年(1947年)のこと。かつては同業者のひしめいていたこの土地で成長し、屠畜解体から部分肉製造やスライスパック製造まで一貫した管理システムを構築し、ブランドを確立してきました。現在では、山口県内牛屠畜頭数の約60%を担っています。
安堂畜産が扱うのは、山口県岩国市周東町地域のブランド牛である高森牛や、日本の在来種であり史跡名勝天然記念物を構成する見島牛の遺伝子を受け次ぐ皇牛(すめらぎぎゅう)、そして、阿武町から出荷される無角和種です。伝統の味へのこだわりはどこにも負けないという自負があります。そんな伝統の味のひとつが無角和種なのです。
無角和種を届ける
安堂畜産を出発する無角和種は、赤身にこだわる全国の料理人や、萩市の道の駅「萩しーまーと」へ山口県だけの特産和牛として届けられています。シェフたちが求めるのはジューシーなロースや柔らかくさっぱりとしたヒレ。Tボーンなどの骨付きの形で欲しいという特別な要望にも作業員が丁寧に応えます。シェフたちからの希望が限定的な部位に偏るのに対して、「萩しーまーと」に構えられた対面販売式の店舗「和肉のあんどう」では、家庭向けとして調理しやすいスライス肉や加工肉を販売。部位ごとにおいしい焼き方を説明できるのも対面販売でのコミュニケーションがあってこそ。好みに合わせた特別な注文をするお客さんとの関係性も築かれています。ニーズを把握し、研究と工夫を重ね続け販売に活かすことで、屠畜した牛を余すことなく売り切ることができるのです。
山口中央家畜市場で買い付けられた無角和種。
牛たちがトラックから降ろされて測量が始まる。個体ごとの状態を確認する。
食の安全・安心に取り組む
高まる食の安全・安心に対するニーズを前に、多面的な取り組みを行っています。トレーサビリティの表示や衛生管理の取り組みは多岐にわたります。そこで目を光らせるのは社長である安堂卓也氏。衛生や鮮度を保つ設備の導入や、国内の義務化以前から認証を得ている業界トップレベルの安全基準のISO22000の認証取得も卓也氏の入社以降、積極的に推進されました。
スライスセンターでは、ガスパックのための独自の包装機も導入。スライスした肉を並べたパックにはラップをかけて出荷するのが一般的ですが、この機械では包装されたパックから空気を抜いて酸素と窒素の混合ガスを入れて密封する。パック内を無菌状態とすることで、酸化や温度変化による変色やドリップの流出を防止。鮮度を保ち、チルド商品の消費期限を長くすることが可能です。微生物検査を徹底し、菌数を極限まで抑え、牛タタキなどの商品展開も実現しています。
品種を守り、新たな研究を
安堂畜産の新たな研究は続いています。その一例がドライエイジングビーフの商品化です。きっかけは、無角和種の赤身肉を見たいとわざわざ静岡県からやって来たドライエイジングビーフの第一人者である株式会社さの萬の社長・佐野佳治氏との出会い。ドライエイジングとは専用の熟成庫で温度や湿度、風、微生物を厳密に管理しながら40日ほど熟成させるなどして、肉の旨味を凝縮する方法。サシの入らない無角和種の赤身肉は、肉に含まれる水分が多くドライエイジングに適していると考えられます。
旨味、香り、柔らかさを味わえる肉好きが喜ぶ付加価値があると信じ、佐野氏からのアドバイスのもとで安堂氏が独自の実験を繰り返して商品が実現。販売を通じて品種の保存に取り組みながら、新たな可能性にも挑戦と研究を重ねる。安堂畜産は、無角和種が歩む新たな道を拓いています。
職人が一頭ずつ丁寧にスピーディーに解体する。
ガスパックのための独自の包装機を導入したスライスセンター。
お問い合わせ
阿武町役場
〒759-3622 山口県阿武郡阿武町大字奈古2636番地
TEL:08388-2-3114
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